「ゼニガメの『ゼニ』って、お金の『銭』のことなのかな?」
「どうしてカメにそんな名前が付いたんだろう?」
ゼニガメという名前を聞くと不思議に思うかもしれませんが、「銭亀」はポケモンが誕生するずっと前から日本で使われていた呼び名です。小さな甲羅が昔のお金を思わせることから、ニホンイシガメの子どもがそう呼ばれていました。
ポケモンのゼニガメにも、こうした実在のカメとのつながりが考えられます。ただし、名前の由来と動物の公式モデルは必ずしも同じではありません。名前の意味や実在するカメとの共通点を詳しく見ていきましょう。
- ゼニの意味:昔のお金の「銭」
- 実在の銭亀:ニホンイシガメの子どもの呼び名
- 公式モデル:ニホンイシガメの指定は未確認
ゼニガメの名前の由来は?実在する「銭亀」がいる
名前の由来を整理すると、確認ポイントは次の3つです。
| 確認ポイント | 内容 |
|---|---|
| もともとの呼び名 | ニホンイシガメの子を指す「ゼニガメ(銭亀)」 |
| 名前の理由 | 小さく丸い甲羅が昔の「銭」を思わせる |
| 現在の使われ方 | クサガメの子にも「ゼニガメ」と呼ぶ場合がある |
ゼニガメはポケモンが作った言葉ではない
「ゼニガメ」という言葉は、ポケモンのために新しく作られた名前ではありません。
コトバンクの「銭亀」では、ゼニガメは小さなニホンイシガメの子を指す言葉として掲載されています。精選版日本国語大辞典には1631年の文献に用例があるとされ、ポケモン誕生よりはるか前から使われてきた言葉だと分かります。
東京動物園協会のニホンイシガメ解説でも、ニホンイシガメの子を「ゼニガメ(銭亀)」と呼ぶことがあると説明されています。
つまり、ポケモン名と実在する子ガメの呼び名が同じです。
ただし今回確認した範囲では、命名者本人の直接説明は未確認です。公式に確認された命名由来ではありませんが、既存語・公式分類・姿が一致するため非常に有力な由来と考えられます。
なぜ「銭亀」と呼ばれる?甲羅が昔のお金に似る
では、実在する子ガメはなぜ「銭亀」と呼ばれるのでしょうか。
国土交通省 中国地方整備局のニホンイシガメ資料では、丸い甲羅から「ゼニガメ(銭亀)」と呼ばれると紹介されています。
また、岐阜県北方町の生物図鑑では、幼いニホンイシガメの丸く黄色がかった甲羅が昔のお金に見えることが名前につながったと説明されています。
「銭」は、昔使われたお金を表す言葉です。小さな子ガメの甲羅を硬貨に見立てた、昔ながらの呼び名というわけです。
丸い子ガメの甲羅と昔の銭のつながり
丸い子ガメの甲羅 → 昔の「銭」を連想 → 「銭亀」
今はクサガメの子も「ゼニガメ」と呼ばれることがある
少しややこしいのは、現在「ゼニガメ」と呼ばれる亀が必ずしもニホンイシガメだけではないことです。
東京動物園協会は、ニホンイシガメの子がかつて「銭亀」として販売されていた一方、クサガメの子まで同じ名前で流通するようになったと説明しています。
そのため、実在生物としての「ゼニガメ」は厳密な一つの種名というより、本来はニホンイシガメの幼体を指す呼び名で、のちにクサガメの幼体にも使われるようになったと考えると分かりやすいでしょう。


ポケモンのゼニガメはニホンイシガメがモデル?
公式に確認できることと、確認できていないことは、次のように分けられます。
| 公式に確認できること | 確認できていないこと |
|---|---|
| ・分類は「かめのこポケモン」 ・デザイン担当は西田敦子さん ・最終進化形から逆算してデザイン |
・ニホンイシガメを特定種の公式モデルにしたという直接発言 |
公式分類は「かめのこポケモン」
ポケモン公式図鑑では、ゼニガメは「かめのこポケモン」に分類されています。
甲羅に閉じこもって身を守り、相手の隙を見て水を噴き出して反撃するという設定も、亀とみずタイプを組み合わせた特徴になっています。
さらに『ポケットモンスター Let’s Go!(レッツゴー、「行こう!」) ピカチュウ・Let’s Go!(レッツゴー、「行こう!」) イーブイ』公式サイトでは、生まれたばかりの柔らかい甲羅がやがて硬くなっていくという説明も確認できます。
このため、ゼニガメには子ガメを表す公式設定が明確にあります。ただし、これは特定の実在種を公式モデルとして示すものではありません。
ゼニガメをデザインしたのは西田敦子さん
ポケモン公式の英語記事「Creator Profile: The Creators of Pikachu(クリエイター紹介:ピカチュウのクリエイターたち)」では、ゼニガメ・フシギダネ・ヒトカゲをデザインしたのは西田敦子さんだと杉森建さんが説明しています。
西田さんは、この3匹を最終進化形から逆算してデザインしたと振り返っています。
同じインタビューで杉森さんは、カエルやトカゲ、子ガメなどの小動物を飼った経験が、最初のパートナーポケモンに現実感や親しみやすさを持たせるうえで役立ったとも話しています。
ただし、この発言は「ゼニガメのモデルはニホンイシガメ」と特定するものではありません。特定の亀の種類まで公式に決まっているとは言えません。
実在するゼニガメとポケモンを比較
| 比較 | ニホンイシガメの子・クサガメの子・ポケモンのゼニガメ |
|---|---|
| 「ゼニガメ」の呼び名 | 本来の代表的な呼び名。後に流通名として使われることがある。正式なポケモン名 |
| 分類 | カメ目イシガメ科。カメ目イシガメ科。かめのこポケモン |
| 名前との関係 | 丸い幼体の甲羅が「銭」を連想させる。現在は同名で呼ばれる場合がある。実在語との一致が非常に強い |
| 公式モデル指定 | 確認できない。確認できない。特定種の明言なし |
名前だけを見るとニホンイシガメとの関係はとても強く見えます。しかし、名前の由来と特定種モデルは別です。
名前の由来と、見た目のモデルは同じとは限りません。
銭亀の名前とニホンイシガメモデルは別
名前が「銭亀」由来でも、ニホンイシガメが公式モデルとは限りません。
英語名Squirtle(スクワートル)の由来は?
ゼニガメの英語名はSquirtle(スクワートル)です。
一般には、squirt(噴き出す)+turtle(カメ)を組み合わせた名前と考えられています。
この解釈はゼニガメの設定にもよく合います。公式図鑑でも、甲羅から身を出すタイミングを見ながら水を噴き出して反撃するポケモンとして描かれています。
米国のニュース誌「TIME(タイム)」の1999年の記事では、英語圏向けローカライズで特徴を表す名前が付けられた経緯を紹介し、日本名のゼニガメを「水を噴き出すカメ」と説明したうえで、英語名Squirtle(スクワートル)になった例を挙げています。
日本名は子ガメ、英語名は水とカメ
日本名:ゼニガメ → 実在する「銭亀」という子ガメの呼び名との関係が最有力
英語名:Squirtle(スクワートル) → 水を噴き出す性質+カメをそのまま表す名前
日本名は昔からある生き物の呼び名、英語名はゼニガメの能力や動物モチーフを分かりやすく表した名前と見ると、両者の違いがよく分かります。
ゼニガメのしっぽは「蓑亀」が元ネタ?
ゼニガメの元ネタを調べると、蓑亀(みのがめ)との関係を挙げるファン考察も見つかります。
東京動物園協会によると、蓑亀は独立した亀の種類ではなく、甲羅に藻が付着して蓑を着たように見える亀を指します。古くから吉兆のしるしとしても扱われてきました。
英語圏のユーザー参加型ポケモン百科事典「Bulbapedia(バルバペディア)」では、ゼニガメや進化後のカメールの尾と蓑亀を結びつける考察が紹介されています。
ただし、しっぽが蓑亀由来という開発者発言は未確認です。特にゼニガメの段階では藻のような長い尾ではないため、現時点では公式設定と同じ強さで扱う説ではありません。
文化的な連想としては面白いものの、記事内では「別説・ファン考察」として見るのがよいでしょう。
結局、ゼニガメの元ネタ・モデルは何?
ゼニガメについて最も確度の高い部分から整理すると、次のようになります。
子ガメ・銭亀・特定種・名前の根拠
- 動物モチーフ:子ガメと見るのが自然。公式分類は「かめのこポケモン」
- 日本名:実在する「ゼニガメ(銭亀)」との関係が最有力
- 実在のゼニガメ:本来はニホンイシガメの子。クサガメの子にも使われることがある
- 特定種モデル:ニホンイシガメとの結びつきは強いが、公式指定は未確認
- 英語名:Squirtle(スクワートル)=squirt(噴き出す)+turtle(カメ)と考えるのが自然
- 別説:尾と蓑亀を結びつける考察があるが、公式確認はない
「ゼニガメ」という名前を理解する鍵は、ポケモン以前からある“銭亀”という呼び名です。
一方で、その事実だけから「ニホンイシガメが公式モデル」とまで断定するのは行き過ぎです。名前の由来と特定種モデルを分けると、ゼニガメの元ネタをより正確に整理できます。
ほかの動物がモチーフになったポケモンについては、動物・実在生物モチーフのポケモンまとめでも紹介します。
第1世代のほかのポケモンは、第1世代(カントー)のポケモン元ネタ・モデル一覧から探せます。


まとめ
ポケモンのゼニガメと同じ「ゼニガメ(銭亀)」という言葉は、昔からニホンイシガメの子を表す呼び名として使われてきました。小さく丸い甲羅が昔の「銭」に見えることが、実在するゼニガメという呼び名の由来です。
ポケモン公式でもゼニガメは「かめのこポケモン」とされ、甲羅に身を隠し、水を噴き出す子ガメらしい特徴を持っています。デザイン担当は西田敦子さんで、最終進化形から逆算して作られたことも公式インタビューで確認できます。
ただし、ニホンイシガメという特定種を直接モデルにしたという開発者発言は確認できません。
名前は「銭亀」、公式設定では「かめのこポケモン」。特定種モデルについては断定しません。これが現在確認できる情報を最も矛盾なくまとめた答えです。
主な参考資料
- ポケモンずかん「ゼニガメ」
- 『ポケットモンスター Let’s Go!(レッツゴー、「行こう!」) ピカチュウ・Let’s Go!(レッツゴー、「行こう!」) イーブイ』公式「ゼニガメ」
- ポケモン公式の英語記事「Creator Profile: The Creators of Pikachu(クリエイター紹介:ピカチュウのクリエイターたち)」
- 国土交通省 中国地方整備局「ニホンイシガメ」
- 東京動物園協会「ニホンイシガメ」
- 東京動物園協会「水族園でニホンイシガメ誕生」
- コトバンク「銭亀」
- TIME(タイム/米国のニュース誌)「Beware of the Poke Mania(直訳:ポケモンブームに注意)」
- 東京動物園協会「蓑亀」
- Bulbapedia(バルバペディア/英語圏のユーザー参加型ポケモン百科事典)「Squirtle(スクワートル)」


