ラプラスって、首長竜みたいなのに背中に甲羅もあるよね。ネッシーがモデルという話も本当なのかな?
長い首と四枚のひれはプレシオサウルス類を思わせますが、甲羅や人を乗せる姿には別のイメージもあります。公式ではのりものポケモンとされ、現実の古代生物の形に、海を進む役割が加わっています。
首長竜やネッシーを公式モデルに指定した説明は確認されていません。首やひれ、甲羅をそれぞれ比べながら、実在生物と伝説の生き物の共通点や、名前の由来候補も詳しく紹介します。
- 実在生物の有力候補:プレシオサウルス類
- 文化的な有力候補:ネッシー
- 注意点:特定モデルの制作側の明言は未確認
ラプラスの元ネタは何?首長竜が最有力
ラプラスを実在した生物と比べたとき、まず注目したいのがプレシオサウルス類です。日本では長い首を持つタイプをまとめて「首長竜」と呼ぶことがあります。
ロンドン自然史博物館はジュラ紀の海生爬虫類を紹介する記事で、長い首を持つプレシオサウルス類とラプラスには多くの共通点があると直接比較しています。特に4枚のヒレと長い首が挙げられています。
| プレシオサウルス類 | ラプラス |
|---|---|
| 4枚のヒレ状の四肢 | 前後に2枚ずつ、計4枚のヒレ状の四肢 |
| 種類によって非常に長い首 | 長く伸びた首 |
| 海で暮らした海生爬虫類 | 海を泳ぎ、人を運ぶみずタイプ |
長い首・4枚のヒレ・水中生活の一致
長い首+4枚のヒレ+水中生活という複数の特徴がまとまって一致するため、首長竜型のプレシオサウルス類は実在生物候補の中で一歩抜けています。
首長竜は恐竜ではない
ここは間違われやすいところです。プレシオサウルス類は恐竜と同じ時代に生きていましたが、分類上は恐竜ではなく海生爬虫類です。
「ラプラスは恐竜ポケモン」と断定するのは不正確です。本サイトの恐竜・古生物モチーフのポケモンまとめでは、恐竜だけでなく首長竜などの古生物候補も分けて紹介しています。


杉森建氏の発言から分かる「人を運ぶ」デザイン
ラプラスには、見た目の元ネタとは別に、制作初期から重要だったと考えられる役割があります。それが人の移動を助けることです。
2000年7月のNintendo Online Magazine(ニンテンドー・オンライン・マガジン/任天堂のオンライン媒体)に掲載されたゲームフリーク開発者インタビューの保存・再翻訳では、杉森建氏が初期に作られたポケモンとしてサイドン、ピッピ、ラプラスなどを挙げています。
杉森氏は、当初はポケモンが人と一緒に暮らして役立つ存在という発想があり、初期のポケモンには海を渡る・荷物を運ぶなど明確な機能を持たせていたと説明しています。
人を運ぶ役割と生物モデルの説明は別
この発言は、ラプラスを含む初期ポケモンが「人の生活を助ける役割」から設計されていたことを示す重要な制作背景です。ただし、首長竜やネッシーをモデルにしたという直接説明ではありません。
公式設定でもラプラスは「のりものポケモン」
現在のポケモンずかんでも、ラプラスの分類は「のりものポケモン」です。タイプはみず・こおり、高さ2.5m、重さ220.0kgとされています。
図鑑では、人の言葉を理解する高い知能を持ち、背中に人を乗せて海を泳ぐのが好きだと説明されています。別の公式図鑑文でも、人を背中に乗せて海を行く設定が確認できます。
ポケモンカードゲーム公式では、アローラ地方で大切な水上交通手段になっているという説明もあります。初期の「人の役に立つ」発想と現在設定が一致しています。
のりものの分類と首長竜・ネッシー説
公式に確認できるのは「のりもの」としての分類・生態です。 これだけを根拠に、首長竜やネッシーを「公式モデル」とすることはできません。
ネッシー説はどこまで有力?
ラプラスの元ネタとして首長竜と並んでよく挙がるのが、スコットランドのネス湖にいると伝えられるネッシー(ネス湖の怪物)です。
ロンドン自然史博物館によると、ネッシーの報告された姿は昔から同じではありません。現在よく知られる首の長いプレシオサウルス風のイメージは、1930年代に強く定着したものです。
そのため、長い首を持つ水生生物というラプラスの姿から、ネッシーを連想するのは自然です。さらに海外で確認できる発売前の名称記録では、仮の英語名「Ness(ネス/読みの目安、ネス湖を連想させる名称)」が使われていました。
英語版の仮名Nessと原デザインは別
Ness(ネス)という仮名はネス湖を連想させる強い手掛かりですが、英語版の名前を決める段階の情報です。日本でラプラスをデザインした時点からネッシーが元ネタだったと証明するものとは分けて考える必要があります。
背中の甲羅は首長竜だけでは説明できない
ラプラスとプレシオサウルス類を比べると、はっきり違う部分もあります。それが背中の大きな甲羅です。
典型的なプレシオサウルス類に、ラプラスのようなカメ型の甲羅があったわけではありません。一方、同じく古代の海生爬虫類の仲間には、プラコドン類のHenodus(ヘノドゥス/読みの目安、古代の海生爬虫類の属名)のように厚い甲羅を発達させたものがいました。ロンドン自然史博物館も、プラコドン類の一部がカメに似た甲羅を持っていたと説明しています。
そのため、ラプラスの外見は「首長竜をそのまま描いた」というより、首長竜型の体+甲羅要素と見る説があります。
ただし、これは甲羅という一部の特徴から考える補助説です。プラコドンやウミガメ由来の直接説明は未確認で、首長竜説と同じ強さには置けません。
ラプラスの名前の由来は?
日本名「ラプラス」については、命名者による直接の語源説明は見つかっていません。代表的な候補として挙げられるのが、フランス語のla place(ラ・プラス/読みの目安、「場所・席」の意味)と、数学者ピエール=シモン・ラプラスです。
la place(ラ・プラス/読みの目安、「場所・席」の意味)説
フランス語のplace(プラス/読みの目安)には「場所」だけでなく、交通機関や劇場などで人のために用意された席という意味があります。
ラプラスは人を背中に乗せる「のりものポケモン」です。そのため、「la place(ラ・プラス)=席」と運ぶ役割は意味の上でかなりきれいにつながります。
ただし、音と設定が一致することは命名の証明ではありません。有力な語源候補の一つとして見るのが自然です。
数学者ラプラス説
もう一つは、フランスの数学者・科学者ピエール=シモン・ラプラスの姓に由来するという説です。
ラプラスは天文学や確率論だけでなく潮汐の理論にも関わっており、NOAA(米国海洋大気庁)の潮汐予測史でも、ラプラスが潮汐の成分を数学的に扱った人物として紹介されています。海のポケモンとの連想材料にはなります。
ただし、こちらも「だからポケモンのラプラスが数学者から命名された」とは言えません。海外でもほかに複数の語源候補が挙げられており、名前の由来は公式確定ではありません。
SNSではプレシオサウルス・ネッシー・カメ説が並ぶ
海外のファンコミュニティでも、「ラプラスは何の動物なのか」という話題は繰り返し出ています。プレシオサウルス、ネッシー、長い首を持つカメ、複数動物を組み合わせた説など、意見は一つではありません。
こうした比較は、ラプラスが1種類の実在動物をそのまま写した姿ではないことを考える参考にはなります。
ただし、SNSで多く語られることと、制作元ネタとして正しいことは別です。ファンの比較は広く語られる説の確認に使い、公式モデルの証拠にはしません。
結局、ラプラスの元ネタ・モデルは何?
ここまでの情報を、根拠の役割ごとに整理すると次のようになります。
| 要素 | 位置づけ |
|---|---|
| 制作背景 | ラプラスを含む初期ポケモンには、人を海上移動させるなど生活を助ける明確な役割を持たせる発想があった |
| 公式設定 | のりものポケモン。人を背中に乗せて海を泳ぐ |
| 実在生物の最有力候補 | プレシオサウルス類。長い首と4枚のヒレが具体的に一致 |
| 文化モチーフ候補 | ネッシー。プレシオサウルス型のイメージと、仮英語名「Ness(ネス)」の記録が補強材料 |
| 甲羅の補助候補 | カメや甲羅を持つプラコドン類。ただし制作側の直接説明なし |
| 名前の由来 | la place(ラ・プラス、「場所・席」の意味)、数学者Laplace(ラプラス)などが候補。命名者の直接説明は未確認 |
ラプラスは、首長竜型を中心に、ネッシー・甲羅・のりもの要素を重ねた姿と考えるのが最も整理しやすいです。
動物モチーフのほかのポケモンは、動物がモチーフのポケモン一覧でも紹介しています。
第1世代のほかの記事は、第1世代(カントー)のポケモン元ネタ・モデル一覧から確認できます。


まとめ
ラプラスの実在生物モチーフとして最も有力なのは、プレシオサウルス類です。ロンドン自然史博物館も、長い首と4枚のヒレなど多くの共通した特徴を紹介しています。
ただし、首長竜は恐竜ではなく海生爬虫類です。さらにラプラスには、プレシオサウルスだけでは説明しにくい甲羅があり、ネッシーやカメ・プラコドン類など複数の要素が重なっている可能性があります。
また、杉森建氏の開発インタビューからは、ラプラスを含む初期ポケモンが「人の生活を助ける明確な役割」を持つ発想から作られていたことが確認できます。現在の「のりものポケモン」という公式設定ともよく一致します。
制作背景・公式設定・首長竜候補・ネッシー文化を分けると、ラプラスの成り立ちが分かりやすくなります。

